民家のように見えるその家が、
鹿児島県の伝統工芸品の指定を受けている
種子鋏の誕生する場所でした。

屋内に入ると部屋の隅々から歴史を感じ、
家屋自体が重要な文化財のようにも思えてきます。

「種子鋏の最大の特徴は刃のねじれです。
 このねじれによって、鋏を使うたびに
 刃を研ぐ仕組みになっています。
 だから、一生ものとして使えるんです」

種子鋏職人の梅木さんはそう教えてくれます。
刃の部分を間近で見るとその言葉の意味はよくわかります。

一般的な鋏のように刃と刃が平行ではなく、
ねじれによって一点で交わります。
少しずつ握るとその交わった点が
すーっと刃先まで移動していきます。
それぞれの刃がそれぞれを研いでいる。
思わず「すごい」と口にしてしまうほど感動的な鋏です。

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鋏づくりに取り組む梅木さんの表情は真剣そのもの。
全てが手づくりなので全ての工程が本番の試合みたいなもの
だと思います。
「ねじれを作るのがとても難しいんです」
梅木さんはそう言います。うまく仕上がったときは
本当に嬉しいそうです。

梅木さんの製作所では種子鋏の他に種子包丁も製作しているとのこと。
「種子包丁は種子鋏のような変わった特徴はなく、職人の腕次第です。
とくに焼入れや研ぎの出来で変わります。だから特徴は職人にでます」

鍛冶の製作現場を初めて見ましたが、
一つ一つ手を抜かず、真剣に向き合う姿を見ていると
自分の仕事に対する姿勢について考えさせられます。
私はここまで一つ一つのことにきちんと向き合っていただろうか。
一生ものの工芸品を生み出しているところで、
とても大事なことを教わった気がしました。

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種子鋏製作所

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