浜田海水浴場の片隅に太平洋の荒波がつくりだした海蝕洞窟があります。
千人座れる広さから、その名を付けられた「千座の岩屋」です。

荘厳さを帯びた外観をオブジェのように鑑賞しながら、
一歩中に足を踏み入れると、外の暑い空気が一変。
ひんやりした空気が体を包みはじめます。
これが小さな冒険の合図でした。

空洞の中は枝葉のようにいくつかの道に分かれ、
それぞれの道の先から「ザザー」という波の音が
ダイナミックに反響しながら聴こえてきます。

天井の低い道をかがんで通り抜けたり、
ポタン、ポタン、と滴り落ちる雫にひやっと驚いたり、
携帯のライトをかざしながら薄暗い空洞内を歩きまわります。
波の音を頼りに小さな広間にたどり着くと、
宝物を見つけたような光景と出会いました。

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暗闇に射し込む光、反響する波の音、
冷えた空気、自然が成形した岩の彫刻、流れ込む海、
そして、洞穴の先に見える青い太平洋。
それらが組み合わさり、神秘的な空間を創造していたのです。

潮位の関係で一日二時間程度しか入れない千座の岩屋。
いつ行っても行ける場所ではない。
きっと、そういうところに一生に一度の体験は潜んでいるのだと思う。

千座の岩屋

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